第59回【共通】午前 問題81-85

共通問題 午前

81 技法としてホームワーク〈宿題〉を用いるのはどれか。

1.支持的精神療法
2.精神分析療法
3.内観療法
4.認知行動療法
5.森田療法

答え

4
認知行動療法では、セラピーセッションで学んだスキルや考え方を日常生活で実践し、強化するために、宿題が頻繁に用いられます。これは、クライアントが自身の思考パターンや行動を意識的に変容させ、問題に対処する能力を高めるのに役立ちます。

1.支持的精神療法

落ち込んだ時や悩んでいる時に、信頼できる友達や家族に話を聞いてもらって、気持ちが楽になった経験はありませんか?支持的精神療法は、まさにそのような体験に近いものです。
専門家が、あなたの話をじっくりと丁寧に聞いてくれます。そして、あなたの気持ちを理解し、受け止め、励ましてくれます。それによって、あなたは安心感を得て、自分自身を肯定できるようになるでしょう。

どんな時に役立つ?
辛い経験をした時
ストレスが溜まっている時
自信を失っている時
孤独を感じている時
誰かに話を聞いてもらいたい、支えてもらいたい、そんな時に、支持的精神療法は大きな助けになります。

2.精神分析療法

精神分析療法は、心の奥深くにある、普段は意識していない気持ちや考えを探っていく、宝探しのような療法です。専門家との対話を通して、過去の経験や夢、ふとした言葉などを手がかりに、あなたの無意識の世界を探っていきます。そうすることで、心の奥底にある問題を見つけ出し、それを理解し、解決していくことができます。

どんな時に役立つ?
原因不明の不安や恐怖がある時
繰り返してしまう行動パターンがある時
人間関係でいつも同じような問題が起こる時
心の奥底にある問題を解決したい、自分自身を深く理解したい、そんな時に、精神分析療法は役立ちます。

3.内観療法

内観療法は、自分自身とじっくり向き合う、瞑想のような療法です。集中内観と呼ばれる方法を使って、特定の人間関係(例えば、両親や兄弟など)について、深く内省していきます。「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」、この3つを丁寧に振り返ることで、自分自身を深く理解し、感謝の気持ちや他者への思いやりを育むことができます。

どんな時に役立つ?
人間関係で悩んでいる時
自分自身を責めてしまう時
感謝の気持ちを忘れがちな時
自分自身と向き合い、心を成長させたい、そんな時に、内観療法は役立ちます。

4.認知行動療法

認知行動療法は、考え方や行動パターンを変えて、問題を解決していく、トレーニングのような療法です。専門家と一緒に、あなたの考え方や行動パターンを分析し、問題を引き起こしている原因を探っていきます。そして、より良い考え方や行動パターンを学び、練習することで、問題を解決していきます。宿題が出されることも多いです。

どんな時に役立つ?
不安や恐怖を感じやすい時
気分が落ち込みやすい時
怒りをコントロールできない時
具体的な問題を解決したい、考え方や行動パターンを変えたい、そんな時に、認知行動療法は役立ちます。

5.森田療法

森田療法は、不安や悩みを受け入れることで、楽に生きていく方法を見つける、まるで流れに身を任せるような療法です。不安や悩みを無理に無くそうとするのではなく、それらを受け入れ、共存していくことを目指します。「あるがまま」を受け入れることで、心の安定を取り戻し、日常生活を送りやすくします。

どんな時に役立つ?
不安や強迫観念に悩まされている時
完璧主義で、いつも緊張している時
悩みから逃れられず、苦しんでいる時
不安や悩みと上手く付き合っていきたい、楽に生きていきたい、そんな時に、森田療法は役立ちます。

82 ADLで正しいのはどれか。

1.環境要因によって影響を受ける。
2.IADLが概念の基礎となっている。
3.生活機能より包括的な概念である。
4.2000年代初頭に世界保健機関によって定義された。
5.評価スケールとしてFugl-Meyer Assessment scaleが用いられる。

答え

1
1.ADLとは、日常生活で自立して行う基本的な活動のことを指します。たとえば、食事をしたり、着替えをしたり、お風呂に入ったりすることです。これらの活動は、身体の機能や健康状態だけでなく、周りの環境にも大きく影響を受けます。たとえば、家の中がバリアフリーであれば、移動がしやすくなり、ADLを自分で行いやすくなることがあります。

2.IADLが概念の基礎となっている
これは間違いです。IADL(Instrumental Activities of Daily Living)は、ADLよりも少し複雑な日常生活の活動を指します。たとえば、料理や買い物、掃除などです。ADLの方がより基礎的な活動で、IADLはその上にある活動です。

3.生活機能より包括的な概念である
これも間違いです。ADLは日常生活における基本的な活動に特化した概念で、生活機能という広い概念の一部を構成します。

4.2000年代初頭に世界保健機関によって定義された
ADLの概念は、ずっと以前から存在しており、2000年代初頭に初めて定義されたわけではありません。

5.評価スケールとしてFugl-Meyer Assessment scaleが用いられる
これは誤りです。Fugl-Meyer Assessment scaleは、脳卒中患者の運動機能を評価するためのスケールであり、ADLの評価には通常、Barthel IndexやFunctional Independence Measure (FIM) などが使われます。

83 改訂日本版デンバー式発達スクリーニング検査〈JDDST-R〉で「母指と示指によるつまみ動作」の通過率75%が含まれる時期はどれか。

1.3~4か月
2.6~7か月
3.9~10か月
4.12~13か月
5.15~16か月

答え

4

通過率75%の意味は、その月齢の子どもたちのうち、75%がその発達項目を達成できるということです。
JDDST-Rでは、「母指と示指によるつまみ動作」は9か月頃から可能になりますが、75%の子供がこの動作を獲得する時期は12~13か月とされています。

1.× 3~4か月:この時期はまだ握り反射が残っており、意図的なつまみ動作は難しい。
2.× 6~7か月:物を両手で持って口に運んだり、手のひら全体で物を握ったりする時期。
3.× 9~10か月:指先で物を poke する、物を落として拾うなどの動作が見られる。
5.× 15~16か月:積み木を重ねたり、スプーンを使おうとしたりするなど、より細かい手先の動きが可能になる。

84 脳卒中回復期の嚥下障害に対する最も適切な栄養管理はどれか。

1.水分にとろみは使用しない。
2.胃瘻造設後には経口摂取は行わない。
3.経鼻胃管による経管栄養は誤嚥の危険はない。
4.点滴管理は栄養摂取量を考慮する必要はない。
5.経鼻胃管による経管栄養は長期的栄養管理には適さない。

答え

5
1.× 水分にとろみは使用しない。 → 誤嚥のリスクがある場合は、適切なとろみを使用することが重要です。
2.× 胃瘻造設後には経口摂取は行わない。 → 胃瘻造設後でも、嚥下機能の回復状況によっては経口摂取を試みることがあります。
3.× 経鼻胃管による経管栄養は誤嚥の危険はない。 → 経鼻胃管でも、逆流やチューブのずれなどにより誤嚥のリスクはあります。
4.× 点滴管理は栄養摂取量を考慮する必要はない。 → 点滴は一時的な栄養補給手段であり、長期的な栄養管理には不十分です。栄養状態を評価し、必要に応じて経腸栄養などを検討する必要があります。
5.〇 経鼻胃管による経管栄養は長期的栄養管理には適さない。 → 経鼻胃管は、鼻腔への負担や感染リスクがあるため、長期的な栄養管理には胃瘻などが適しています。

85 出生時に出現していないのはどれか。

1.Moro反射
2.Galant反射
3.Babinski反射
4.緊張性迷路反射
5.対称性緊張性頸反射

答え

5
対称性緊張性頸反射は、通常、生後4~6ヶ月頃から出現し、8~12ヶ月頃に消失する反射です。他の選択肢は、全て出生時に存在する原始反射です。

Moro反射: 大きな音や体勢の変化などに驚いて、両腕を広げて抱きつくような動作をする反射
Galant反射: 背中を刺激すると、刺激された側へ体を曲げる反射
Babinski反射: 足の裏の外側を踵からつま先に向かってこすると、足の指が開く反射
緊張性迷路反射: 頭の位置によって、手足の筋肉の緊張が変化する反射

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