問題76 骨転移を最も生じやすいのはどれか。
1.胃癌
2. 肝臓癌
3. 前立腺癌
4. 大腸癌
5. 膀胱癌
答え
3
骨転移を最も生じやすいのは、3. 前立腺癌です。
- 癌は、体の中の細胞が異常に増殖して、周りの組織を破壊してしまう病気です。
- 転移は、癌細胞が血液やリンパ液の流れに乗って、体の他の場所に移動して増殖することです。
- 骨転移は、癌細胞が骨に転移することです。
すべての癌は骨に転移する可能性がありますが、特に前立腺癌は骨に転移しやすい性質があります。
なぜ前立腺癌が骨転移しやすいのか、詳しい理由はまだ完全には解明されていません。しかし、前立腺癌細胞が骨の環境を好む、あるいは骨に移動しやすい性質を持っていると考えられています。
他の癌、例えば胃癌、肝臓癌、大腸癌、膀胱癌なども骨転移を起こすことはありますが、前立腺癌ほど多くはありません。
癌の種類によって転移しやすい場所は異なります。例えば、大腸癌は肝臓に転移しやすく、胃癌はリンパ節に転移しやすい傾向があります。
骨転移は、骨の痛みや骨折などの症状を引き起こすことがあります。
問題77 呼吸機能検査について正しいのはどれか。
1. 呼吸筋力の低下で肺活量は低下する。
2. 気道抵抗が増加すると1秒率は上昇する。
3. 肺拡散能の低下では最大呼気流量は低下する。
4. 肺コンプライアンスが低下すると機能的残気量は増加する。
5. 換気血流比不均等では肺胞気安動脈血酸素分圧較差が低下する。
答え
1
正解は 1. 呼吸筋力の低下で肺活量は低下する。 です。
まず、呼吸機能検査とは、肺がどれくらい空気を吸ったり吐いたりできるか、酸素を血液中に取り込む能力がどれくらいあるかなどを調べる検査です。
1. 呼吸筋力の低下で肺活量は低下する。
- 肺活量というのは、息を最大限吸い込んだ後、最大限吐き出した時の空気の量のことです。
- 呼吸筋力は、肺を膨らませたり縮ませたりする筋肉の力のことです。
- 呼吸筋力が弱くなると、肺を大きく膨らませることができなくなるので、肺活量は低下します。
- 例えば、重い荷物を持ち上げられない人がいるように、呼吸筋力が弱いと、肺も大きく動かせないイメージです。
2. 気道抵抗が増加すると1秒率は上昇する。
- 1秒率は、息を最大限吸い込んだ後、1秒間にどれだけの空気を吐き出せるかの割合を示す値です。
- 気道抵抗とは、空気が気管を通る時の抵抗のことです。
- 気道抵抗が増加すると、空気の通り道が狭くなるため、1秒間に吐き出せる空気の量は減少し、1秒率は低下します。
- これは、細いストローでジュースを飲むと、太いストローで飲むよりも時間がかかるのと同じようなイメージです。
3. 肺拡散能の低下では最大呼気流量は低下する。
- 肺拡散能とは、肺で酸素と二酸化炭素を交換する能力のことです。
- 最大呼気流量とは、息を最大限の力で吐き出した時の空気の流れの速さのことです。
- 肺拡散能は、主に酸素と二酸化炭素の交換に関わるもので、最大呼気流量には直接的な影響を与えません。
4. 肺コンプライアンスが低下すると機能的残気量は増加する。
- 肺コンプライアンスとは、肺の膨らみやすさのことです。
- 機能的残気量とは、息を普通に吐き出した後に肺に残っている空気の量のことです。
- 肺コンプライアンスが低下すると、肺が硬くなって膨らみにくくなるため、息を吐き出すのが難しくなり、機能的残気量は増加します。
- 風船を膨らませるのを想像してみてください。新しい風船は簡単に膨らみますが、古い風船は硬くなって膨らませにくいですよね。肺も同じように、硬くなると膨らみにくく、空気を吐き出しにくくなります。
5. 換気血流比不均等では肺胞気動脈血酸素分圧較差が低下する。
換気血流比不均等が起こると、肺胞で酸素と二酸化炭素の交換が効率的に行われなくなるため、肺胞気動脈血酸素分圧較差は増加します。
換気血流比不均等とは、肺の ventilation (換気)と perfusion (血流)のバランスが崩れている状態のことです。
肺胞気動脈血酸素分圧較差とは、肺胞内の酸素の圧力と動脈血中の酸素の圧力の差のことです。
問題78 下肢の深部静脈血栓症により塞栓をきたすことが最も多い臓器はどれか。
1. 脳
2. 肺
3. 肝臓
4. 心臓
5. 腎臓
答え
2
正解は 2. 肺 です。
- 深部静脈血栓症 とは、足の奥深くにある静脈に血の塊(血栓)ができる病気です。
- 塞栓 とは、血管の中で血栓などの異物が詰まってしまうことです。
下肢の深部静脈血栓症が起こると、血栓が血流に乗って心臓まで運ばれ、心臓から肺動脈を通って肺に到達することがあります。そして、肺動脈で詰まってしまうことで 肺塞栓症 を引き起こします。
肺塞栓症
肺塞栓症は、肺への血流を妨げ、呼吸困難や胸の痛みなどの症状を引き起こす危険な病気です。
他の臓器と比べて、肺に塞栓が起こりやすい理由は、
- 血流の流れ: 下肢から心臓に戻った血液は、次に肺に送られるため、血栓が肺に流れ着きやすい。
- 血管の構造: 肺動脈は、他の臓器の動脈に比べて細く、血栓が詰まりやすい。
といったことが挙げられます。
他の選択肢について
- 脳: 脳に血栓が詰まると脳梗塞になりますが、これは通常、心臓や首の動脈から発生した血栓が原因となります。
- 肝臓: 肝臓は門脈という特殊な血管から血液が流れ込むため、下肢の静脈血栓が直接流れ込むことは少ないです。
- 心臓: 心臓に血栓が詰まると心筋梗塞になりますが、これは心臓の冠動脈で血栓が作られることが原因です。
- 腎臓: 腎臓に血栓が詰まることは稀です。
このように、下肢の深部静脈血栓症が起こった場合、最も注意すべきなのは肺塞栓症です。
問題79 欲求を満たせないときに、正反対の欲求を発展させ心的平衡を保とうとする防衛
機制はどれか。
1. 置き換え
2. 合理化
3. 反動形成
4. 否認
5. 抑圧
答え
3
正解は 3. 反動形成 です。
反動形成とは、受け入れられない欲求や衝動を、意識的に正反対の態度や行動をとることで隠そうとする防衛機制です。
例えば、
- 弟や妹が生まれて、本当は両親の愛情を独り占めしたいと思っている子供が、逆に弟や妹の世話をすることに熱中する。
- 嫌いな上司に対して、本当は怒りや不満を感じているのに、過度に親切に接したり、必要以上に褒めたりする。
などが反動形成の例として挙げられます。
他の選択肢について解説すると、
- 1. 置き換え: ある対象に向けられた感情や行動を、別の対象に向けること。例えば、上司に怒られた腹いせに、家に帰って子供に当たってしまう。
- 2. 合理化: 受け入れがたい出来事に対して、もっともらしい理由をつけて、自分の行動を正当化すること。例えば、試験に落ちた時、「問題が悪かった」と考える。
- 4. 否認: 現実を認めたくないときに、その事実をなかったことにすること。例えば、重い病気の診断を受けたのに、「そんなはずはない」と受け入れない。
- 5. 抑圧: 受け入れがたい欲求や衝動を、無意識のうちに抑え込むこと。例えば、過去のつらい経験を思い出せない。
これらの防衛機制は、いずれも私たちが心の安定を保つために無意識に用いているものです。
問題80 自己暗示により催眠状態を作り出し心身をリラックスさせる方法はどれか。
1. コラム法
2. 自律訓練法
3. 自由連想法
4. 漸進的筋弛緩法
5. マインドフルネス
答え
2
正解は 2. 自律訓練法 です。
自律訓練法は、自己暗示を用いて心身をリラックスさせる方法です。
具体的には、
- 静かな場所で楽な姿勢をとる
- 目を閉じ、呼吸に意識を集中する
- 「右腕が重い」「右腕が温かい」といったように、体の各部位に重さ、温かさ、などの感覚を自己暗示で呼び起こしていく
- 心臓の鼓動や呼吸のリズムを整える
- 全身がリラックスした状態を感じ取る
といった手順で行います。
自律訓練法は、ストレスの軽減、不安や緊張の緩和、集中力や睡眠の質の向上などに効果があるとされています。
他の選択肢について解説すると、
- 1. コラム法: 精神科医が患者の訴えを聞き取り、その内容を要約して返すことで患者の自己洞察を促す心理療法です。
- 3. 自由連想法: 精神科医が患者に自由に言葉を連想させて、その内容から患者の無意識を探る心理療法です。
- 4. 漸進的筋弛緩法: 体の各部位の筋肉を意識的に緊張させ、その後、ゆっくりと弛緩させることで、全身の relaxation を促す方法です。
- 5. マインドフルネス: 「今、この瞬間」に意識を集中することで、雑念を払い、心を穏やかにする方法です。
これらの方法も、それぞれ心身の健康に役立つものですが、自己暗示によって催眠状態を作り出すという点では、自律訓練法が最も適切な選択肢です。
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