71 肩甲骨の上方回旋に作用する筋はどれか。
1. 広背筋
2. 前鋸筋
3. 菱形筋
4. 肩甲下筋
5. 肩甲挙筋
答え
2
肩甲骨は背中の上部にある三角形をした骨で、腕の動きに大きく関わっています。肩甲骨は、上下左右に動いたり、回転したりすることができます。このうち、肩甲骨が上方に回転する動きを上方回旋といいます。
肩甲骨の上方回旋は、腕を上げる動作(例えば、物を取ろうと手を伸ばす、ボールを投げるなど)に重要です。
この上方回旋に作用する主な筋肉は、以下の2つです。
- 僧帽筋(上部線維): 後頭部から鎖骨、肩甲骨にかけて広がる大きな筋肉で、肩甲骨を上方回旋させる働きがあります。
- 前鋸筋: 肋骨の外側から肩甲骨の内側にかけて広がる筋肉で、肩甲骨を前方へ押し出すとともに、上方回旋させる働きがあります。
では、選択肢を見ていきましょう。
- 広背筋: これは誤りです。広背筋は、腕を内転(体に引きつける)させたり、伸展(後ろに伸ばす)させたりする働きがあります。
- 前鋸筋: これは正しいです。前鋸筋は、肩甲骨を上方回旋させる主要な筋肉の一つです。
- 菱形筋: これは誤りです。菱形筋は、肩甲骨を内転(背骨に近づける)させたり、下方回旋させる働きがあります。
- 肩甲下筋: これは誤りです。肩甲下筋は、腕を内旋(内側に回す)させる働きがあります。
- 肩甲挙筋: これは誤りです。肩甲挙筋は、肩甲骨を挙上(上に引き上げる)させる働きがあります。
よって、肩甲骨の上方回旋に作用する筋は2. 前鋸筋です。
72 膝関節屈曲と足関節底屈の両方に作用する筋はどれか。2つ選べ。
1. 足の長指屈筋
2. 後脛骨筋
3. 膝窩筋
4. 足底筋
5. 腓腹筋
答え
45
それぞれの関節の動きについて確認しましょう。
- 膝関節屈曲: 膝を曲げる動きです。
- 足関節底屈: 足首を伸ばしてつま先を地面に向ける動きです。
これらの動きを同時に行うことができる筋肉は、二関節筋と呼ばれます。二関節筋は、2つの関節をまたいでいるため、両方の関節の動きに関与することができます。
では、選択肢を見ていきましょう。
- 足の指の長指屈筋: これは足関節の底屈と足の指の屈曲に作用します。膝関節には作用しません。
- 後脛骨筋: これは足関節の底屈と内反に作用します。膝関節には作用しません。
- 膝窩筋: これは膝関節の屈曲にのみ作用します。足関節には作用しません。
- 足底筋: これは正しいです。足底筋は腓腹筋の深層にある筋肉で、膝関節の屈曲と足関節の底屈に作用します。
- 腓腹筋: これは正しいです。腓腹筋はふくらはぎにある筋肉で、膝関節の屈曲と足関節の底屈に作用します。
よって、膝関節屈曲と足関節底屈の両方に作用する筋は、4. 足底筋 と 5. 腓腹筋 です。
足底筋は腓腹筋に比べて小さく、あまり知られていないかもしれませんが、歩行や走行時に重要な役割を果たしています。
73 関節可動域測定法(日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会基準によ
る)の運動方向と移動軸の組合せで正しいのはどれか。
1. 股屈曲・・・下腿中央線
2. 股内旋・・・大腿骨
3. 股外転・・・大腿中央線
4. 膝屈曲・・・脛骨
5. 足底屈・・・第1中足骨
答え
3
1.大腿骨
2.下腿中央線
4.腓骨
5.足底面
74 正常歩行について正しいのはどれか。
1. 足関節は1歩行周期に背屈と底屈とが2回生じる。
2. 股関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが2回生じる。
3. 膝関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが1回生じる。
4. 一側下肢の立脚相と遊脚相の割合は7:3 である。
5. 高齢者では歩行比が大きくなる。
答え
1
歩行というのは、かかとが地面についてから、再び同じかかとが地面につくまでの一連の動作のことです。これを1歩行周期と言います。
1歩行周期の間には、足首、股関節、膝関節など、様々な関節が複雑に動いていますが、それぞれの関節の動き方を理解することが大切です。
1. 足関節は1歩行周期に背屈と底屈とが2回生じる。これは正しいです。
- 背屈: つま先を上に上げる動き
- 底屈: つま先を下に下げる動き
1歩行周期の中で、足首は背屈と底屈をそれぞれ2回行います。
具体的には、
- かかとが地面についた直後と、つま先が地面を離れる直前に背屈
- 足が地面から離れた直後と、かかとが地面につく直前に底屈
となります。
2.股関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが2回生じる。これは誤りです。
股関節は1歩行周期に伸展と屈曲をそれぞれ1回ずつ行います。
歩行中の股関節の動きをもう少し詳しく見てみましょう。
- 立脚相初期: 股関節は少し屈曲した状態から始まります。
- 立脚相中期: 股関節は伸展していきます。
- 立脚相後期: 股関節は最大伸展に達します。
- 遊脚相初期: 股関節は屈曲し始めます。
- 遊脚相中期: 股関節はさらに屈曲し、足を前方に振り出します。
- 遊脚相後期: 股関節は再び伸展し始め、次の立脚相に備えます。
このように、股関節は1歩行周期の中で、伸展と屈曲を1回ずつ行うことで、スムーズな歩行を可能にしています。
3.膝関節は1歩行周期に伸展と屈曲とが1回生じる。
これは誤りです。
膝関節は1歩行周期に、伸展と屈曲を2回ずつ行います。
- 伸展: 膝を伸ばす動き
- 屈曲: 膝を曲げる動き
4. 一側下肢の立脚相と遊脚相の割合は7:3 である。
これは誤りです。
- 立脚相: 片方の足が地面についている期間
- 遊脚相: 片方の足が地面から離れている期間
1歩行周期における立脚相と遊脚相の割合は、約6:4です。つまり、立脚相の方が遊脚相よりも少し長くなります。
5. 高齢者では歩行比が大きくなる。
これは誤りです。
- 歩行比: 歩幅 ÷ 身長
高齢者では、歩幅が狭くなる傾向があるため、歩行比は小さくなる傾向があります。
75 組織の再生能力が最も高いのはどれか。
1. 角膜
2. 骨髄
3. 心筋
4. 神経
5. 横紋筋
答え
2
組織の再生能力が最も高いのは、2. 骨髄 です。
骨髄は、血液細胞を産生する重要な組織であり、高い再生能力を持っています。これは、骨髄中に存在する造血幹細胞が盛んに細胞分裂を行い、様々な血液細胞を供給し続けているためです。
他の選択肢と比較すると、
横紋筋: 再生能力は限られています。損傷が大きい場合は、機能が完全に回復しないこともあります。
角膜: ある程度の再生能力はありますが、損傷が大きい場合は完全に再生できないこともあります。
心筋: 再生能力は非常に低く、損傷を受けると瘢痕組織に置き換わってしまうことが多いです。
神経: 中枢神経系は再生能力がほとんどありません。末梢神経系は再生能力がありますが、回復には時間がかかります。
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