問題66 近位尿細管に分泌されるのはどれか。
1. H+
2. K+
3. Na+
4. Ca2+
5. HCO3ー(重炭酸イオン)
答え
1
腎臓の働きを簡単に説明しますね。腎臓は、血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出する臓器です。腎臓の機能単位はネフロンと呼ばれ、糸球体と尿細管からなります。
糸球体で血液がろ過された後、原尿と呼ばれる液体が尿細管へと送られます。尿細管は、近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位尿細管、集合管の4つに分かれており、それぞれで異なる働きをしています。
近位尿細管では、原尿中の必要な成分(グルコース、アミノ酸、水、電解質など)のほとんどが再吸収されます。同時に、体にとって不要な物質が分泌されます。
では、選択肢を見ていきましょう。
- H+: これは正しいです。近位尿細管では、血液中のH+(水素イオン)を尿中に分泌することで、体液のpHを調節しています。
- K+: K+(カリウムイオン)は、近位尿細管で再吸収されます。分泌は主に遠位尿細管で行われます。
- Na+: Na+(ナトリウムイオン)は、近位尿細管で再吸収されます。
- Ca2+: Ca2+(カルシウムイオン)は、近位尿細管で再吸収されます。
- HCO3-: HCO3-(重炭酸イオン)は、近位尿細管で再吸収されます。
近位尿細管における分泌は、体液のpH調節や老廃物の排出に重要な役割を果たしています。
問題67 下垂体前葉から分泌されるホルモンはどれか。
1. メラトニン
2. オキシトシン
3. バソプレシン
4. プロラクチン
5. テストステロン
答え
4
下垂体は脳の底部にある小さな器官で、体全体のホルモン分泌をコントロールする司令塔のような役割をしています。
下垂体は、前葉と後葉に分かれており、それぞれ異なるホルモンを分泌しています。
下垂体前葉から分泌されるホルモンは、主に他の内分泌器官(ホルモンを分泌する器官)に働きかけて、ホルモンの分泌を調節する働きがあります。
下垂体後葉からは、視床下部で作られたホルモンが分泌されます。
では、選択肢を一つずつ見ていきましょう。
- メラトニン: これは誤りです。メラトニンは松果体から分泌されるホルモンで、睡眠と覚醒のリズムを調節しています。
- オキシトシン: これは誤りです。オキシトシンは視床下部で作られ、下垂体後葉から分泌されるホルモンで、子宮の収縮や乳汁分泌を促進する働きがあります。
- バソプレシン: これは誤りです。バソプレシンは視床下部で作られ、下垂体後葉から分泌されるホルモンで、腎臓での水分の再吸収を促進し、尿量を減少させる働きがあります。
- プロラクチン: これは正しいです。プロラクチンは下垂体前葉から分泌されるホルモンで、乳腺を発達させ、乳汁の分泌を促進する働きがあります。
- テストステロン: これは誤りです。テストステロンは精巣から分泌される男性ホルモンで、男性の性徴の発現や精子の産生を促進する働きがあります。
よって、下垂体前葉から分泌されるホルモンは4. プロラクチンです。
下垂体前葉からは、プロラクチンの他に、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、性腺刺激ホルモンなども分泌されます。これらのホルモンは、それぞれ体の成長、代謝、生殖など、重要な機能を調節しています。
問題68 体温について正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 体温調節中枢は延髄にある。
2. 末梢血管収縮で熱放散が低下する。
3. ヒトの核心温度は体表で測定できる。
4. 甲状腺ホルモンは熱生産を低下させる。
5. 乳幼児は成人より体温調節機能が高い。
答え
解なし
体温とは体の内部の温度のことで、生命維持に欠かせないものです。人間の体は、常に一定の体温を保つように調節されています。この体温調節は、主に脳の視床下部にある体温調節中枢によって行われています。
では、選択肢を一つずつ見ていきましょう。
- 体温調節中枢は延髄にある。 → これは誤りです。体温調節中枢は視床下部にあります。延髄は呼吸や循環など、生命維持に重要な機能をコントロールする中枢です。
- 末梢血管収縮で熱放散が低下する。 → これは正しいです。末梢血管とは、体の表面近くにある血管のことです。寒い時には、末梢血管が収縮することで、体表面への血流が減り、熱の放散を抑えます。
- ヒトの核心温度は体表で測定できる。 → これは誤りです。核心温度とは、体の深部の温度のことです。体表で測定できるのは皮膚温で、核心温度とは異なります。核心温度を測定するには、直腸温や耳式体温計などを使用します。
- 甲状腺ホルモンは熱生産を低下させる。 → これは誤りです。甲状腺ホルモンは、代謝を促進し、熱生産を増加させる働きがあります。
- 乳幼児は成人より体温調節機能が高い。 → これは誤りです。乳幼児は、体温調節機能が未熟なため、体温が変動しやすく、外気温の影響を受けやすいです。
よって、正しい選択肢は 2. 末梢血管収縮で熱放散が低下する。のみ です。
もう一つ、正しい選択肢を探してみましょう。
体温を一定に保つためには、熱の産生と熱の放散のバランスが重要です。熱産生には、基礎代謝、筋肉の活動、食物の摂取などが関わっています。一方、熱放散には、放射、伝導、対流、蒸発などがあります。
これらのことから、もう一つの正しい選択肢は なし となります。
体温調節は、自律神経系、内分泌系、行動など、様々な要素が関わって行われています。体温を適切に保つことは、健康を維持するために非常に重要です。
問題69 強制吸気時に働くのはどれか。2つ選べ。
1. 横隔膜
2. 腹直筋
3. 肋下筋
4. 外肋間筋
5. 内腹斜筋
答え
14
呼吸には、安静時に行う呼吸と、運動時など呼吸量を増やす必要がある時に行う強制呼吸があります。
安静時の吸気は、主に横隔膜と外肋間筋の収縮によって行われます。
一方、強制吸気は、安静時の吸気に加えて、補助呼吸筋と呼ばれる筋肉が働きます。これらの筋肉は、より多くの空気を吸い込むために、胸郭を大きく広げる役割を担います。
では、選択肢を一つずつ見ていきましょう。
- 横隔膜: これは正しいです。横隔膜は、胸腔と腹腔を隔てるドーム状の筋肉で、吸気の際に最も重要な筋肉です。収縮すると、横隔膜が下がり、胸腔が広がります。
- 腹直筋: これは誤りです。腹直筋は、腹部の前面にある筋肉で、主に呼気時に働きます。
- 肋下筋: これは誤りです。肋下筋は、肋骨を引き下げることで、呼気時に働きます。
- 外肋間筋: これは正しいです。外肋間筋は、肋骨と肋骨の間にある筋肉で、収縮すると肋骨を引き上げ、胸郭を広げます。
- 内腹斜筋: これは誤りです。内腹斜筋は、腹部の側面にある筋肉で、主に呼気時に働きます。
よって、強制吸気時に働くのは 1. 横隔膜 と 4. 外肋間筋 です。
さらに、強制吸気に関わる補助呼吸筋としては、以下のようなものがあります。
- 胸鎖乳突筋:首の側面にある筋肉で、胸骨と鎖骨を引き上げます。
- 斜角筋:首の側面にある筋肉で、肋骨を引き上げます。
- 僧帽筋:背中の筋肉で、肩甲骨を引き上げ、胸郭を広げます。
これらの筋肉が協力して働くことで、より多くの空気を吸い込み、運動に必要な酸素を体内に取り込むことができます。
問題70 筋と作用の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 頰筋 頰をふくらませる。
2. 咬筋 下顎を引き下げる。
3. 前頭筋 眉を持ち上げる。
4.側頭筋 下顎を持ち上げる。
5. 内側翼突筋 唇をすぼめる。
答え
134
頬筋 頬をふくらませる。 → これは正しいです。頬筋は、頬にある筋肉で、収縮すると頬を膨らませたり、口角を横に引いたりします。笑顔を作る時などに働く筋肉です。
咬筋 下顎を引き下げる。 → これは誤りです。咬筋は、下顎を引き上げる働きをします。ものを噛むときに使われる、咀嚼筋の中で最も強力な筋肉です。
前頭筋 眉を持ち上げる。 → これは正しいです。前頭筋は、額にある筋肉で、収縮すると眉を引き上げ、額にしわを寄せます。驚いた表情や、考え事をしている時の表情を作るのに使われます。
側頭筋 下顎を持ち上げる。 → これは正しいです。側頭筋は、頭の側面にある筋肉で、下顎を引き上げる働きをします。咬筋と共に、咀嚼に重要な役割を果たします。
内側翼突筋 唇をすぼめる。 → これは誤りです。内側翼突筋は、下顎を引き上げる、前に突き出す、左右に動かす働きをします。唇をすぼめるのは、口輪筋という筋肉です。
よって、正しい組み合わせは 134 です。
コメント