第58回【共通】午後 問題96~100

第58回(2023年)

問題96 全身性エリテマトーデスにみられにくいのはどれか。
1. 頭 痛
2. けいれん
3. 被害妄想
4. 音声チック
5. 気分の変動

答え

4

この病気は全身のさまざまな場所、臓器に、多彩な症状があらわれます。発熱、 全身倦怠感 などの 炎症 を思わせる症状と、関節、皮膚、そして腎臓、肺、中枢神経などの内臓のさまざまな症状が一度に、あるいは経過とともに起こってきます。その原因は、今のところわかっていませんが、免疫の異常が病気の成り立ちに重要な役割を果たしています。
難病情報センター 
https://www.nanbyou.or.jp/entry/215

1.✕ 
2.✕
3.✕
4.〇
5.✕

問題97 精神遅滞の発症と関連がない疾患はどれか。
1. Klinefelter 症候群
2. Prader-Willi 症候群
3. Turner 症候群
4. Wallenberg 症候群
5. West 症候群

答え

4
1.✕ クラインフェルター症候群:
特徴: Klinefelter症候群は、男性が通常XY染色体の代わりにXXY染色体の持ち主である染色体異常です。これにより、男性の性器や性徴が女性化する可能性があります。
症状: 睾丸の小ささ、精子の生産低下、乳房の腫れ(乳房組織の増加)、学習障害、言語の遅れなどが見られることがありますが、全ての患者で同じ症状が現れるわけではありません。

2.✕ プラダ―ウィリー症候群
特徴: Prader-Willi症候群は、染色体15q11-13領域の異常に起因する遺伝性の疾患です。通常、親からの遺伝が必要で、父親からの染色体の異常や削除が原因となります。
症状: 乳児期から特徴的な食欲の亢進があり、過食につながります。これに伴い肥満が発生しやすく、知的な障害や行動の問題も見られることがあります。

3.✕ ターナー症候群
特徴: Turner症候群は、女性が片方のX染色体を欠損または異常を持っている染色体異常です。これにより、身体的な発育に影響が出ます。
症状: 短身、性器の発育不全、生殖能力の低下などが一般的です。知的障害はまれであるが,多くの女児で非言語性学習障害,注意欠如、多動またはその両方が認められ,その結果,たとえ知能検査の言語性課題では平均以上の成績を残したとしても,動作性検査と数学では成績は不良となる場合があります。

4.〇 Wallenberg 症候群は、脳幹の一部の損傷によって引き起こされる疾患であり、通常は神経学的な症状が主体であり、精神遅滞は関連していません。
症状
めまいと平衡障害: 耳の中の平衡感覚に影響を与え、めまいや歩行の不安定感が現れることがあります。
偏頭痛: 頭痛が生じることがあります。
吐き気と嘔吐: 平衡感覚の損失が吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。
嚥下障害: 嚥下の制御が難しくなり、食事や飲み物の摂取に問題が生じることがあります。
顔面の感覚異常: 顔の一部に感覚の低下や異常感が生じることがあります。これは特に同側の顔面に影響します。
声の変化: 声の低下や変調が生じることがあります。
眼球運動の異常: 眼球の動きに異常が生じ、視線の制御に問題が生じることがあります。

5.✕ West症候群(West症候群またはInfantile Spasms):
特徴: West症候群は、乳幼児期に発症するてんかんの一形態であり、特有のてんかん発作が見られます。
症状: 典型的なてんかん発作は、突然の体の硬直やけいれん、手の振戦などがあり、発達の遅れや知的な障害が関連していることがあります。治療が遅れると、長期的な神経学的な合併症が生じることがあります。





問題98 親しい人間関係を構築できず、奇異な考え方や風変わりな行動が継続してみら
れ、パーソナリティ障害を指摘された。最も考えられるのはどれか。
1. 演技性パーソナリティ障害
2. 回避性パーソナリティ障害
3. 猜疑性〈妄想性〉パーソナリティ障害
4. シゾイド〈統合失調質〉パーソナリティ障害
5. 統合失調型パーソナリティ障害

答え

5
1.✕ 「常に注目されていたい」と、周りや異性からの注目を集めるために嘘で人をだましたりする傾向があります。

2.✕ 失敗や他者からの否定的感情が極度に怖くなるという特徴があります。そのために、責任のある仕事を任せられても、目立つのが嫌で断るなど、積極的な社会参加を避ける傾向があります。

3.✕ 他者に対する不信感や猜疑心が異常に強くなってしまうのが特徴です。周りの人が「だまそうとしている」「利用しようとしている」など悪意や敵意を向けられていると思い、人を信用することができなくなってしまいます。

4.✕ 一人でいることを好み、周りからの評価を気にしないなど、他者への関心が高くないことが特徴の一つです。

5.〇 シゾイドパーソナリティ障害と近縁性があると言われています。思い出し笑いや独り言、話が脱線することなどがあり、周りに考え方や行動が独特であるという印象を持たれるのが特徴の一つです。

問題99 鉄欠乏性貧血の患者にみられやすい睡眠・覚醒障害はどれか。
1. 睡眠時遊行症
2. ナルコレプシー
3. 睡眠相前進症候群
4. むずむず脚症候群
5. 閉塞性睡眠時無呼吸障害

答え

4
1.✕

 睡眠時遊行症は、睡眠中の人が自覚のないまま半ば無意識の状態で歩き回る現象で、小児期の後期と青年期に最も多くみられます。 睡眠時遊行症はノンレム睡眠の最も深い段階で起こります。 睡眠時遊行症の人は、歩きながら繰り返し何かをつぶやいたり、障害物にぶつかってけがをすることがあります。



2.✕ 

ナルコレプシー(居眠り病)は、日中に強い眠気が繰り返し起こる睡眠障害です。通常は突然の一時的な筋力低下(情動脱力発作)を伴います。


3.✕ 

睡眠相前進症候群は、夕方の眠気や早朝覚醒を呈するもので、高齢者に多いものです。 加齢に伴う生体リズムの周期の短縮が関与していると考えられています。


4.〇

鉄欠乏性貧血の患者にみられやすい睡眠・覚醒障害は、一般的に「むずむず脚症候群」です。むずむず脚症候群は、足に不快な感覚や動きがあり、これが就寝時に強く現れ、睡眠の妨げとなります。鉄欠乏性貧血がむずむず脚症候群を引き起こす可能性があります。


5.✕

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、寝ている時に息の通り道である気道が閉塞し、呼吸が停止してしまう病気です。夜間のいびきや無呼吸、起床時の頭痛、日中の眠気などの症状に加え、交通事故のリスクや、脳心血管病のリスクにもなります。

問題100 神経性無食欲症で生じやすいのはどれか。
1. 頻 脈
2. 高血圧
3. 高血糖
4. 高リン血症
5. 高コレステロール血症

答え

5
神経性無食欲症(神経性食欲不振症)は、心因性の食欲不振症の一形態であり、主に精神的な要因が影響して食欲が低下する病態です。以下は神経性無食欲症で生じる可能性のある症状ですが、これらが全ての患者に当てはまるわけではありません:

  1. 食欲不振: 主な特徴で、食事の摂取が著しく減少します。
  2. 体重減少: 長期間にわたり栄養が不足することで、体重が減少する傾向があります。
  3. 運動の過剰: 過度な運動や活動が見られ、これによってエネルギー消費が増えることがあります。
  4. 体の冷えやむくみ: 食事の不足や栄養不良により、体温調節が難しくなり、冷えやむくみが生じることがあります。
  5. 体調不良: 基本的な栄養素が不足することで、体調が悪化しやすいです。
  6. 心理的な症状: 抑うつ症状、不安感、社会的な引きこもり、自己評価の低下などが見られることがあります。
  7. 月経異常: 女性では月経異常が生じることがあります。
  8. 貧血: 鉄分や他の栄養素の不足により、貧血が発生することがあります。
  9. 高コレステロール血症:血液検査では脱水、貧血や白血球減少、肝機能異常、低タンパク血症、高コレステロール血症など種々の異常がみられます。

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